「ほぼ日のアースボール」座談会メンバー

Project talk/プロジェクト座談会


「ほぼ日のアースボール」開発STORY
こんなことができたら面白い!
無限のコンテンツの「地球」を、ARで実現するアプリ開発

Outline

「ほぼ日のアースボール」プロジェクト

専用のスマートフォンアプリカメラをアースボールにかざすことで、地球儀に重ねた様々なマルチメディアコンテンツの表示や切り替えを楽しむことができるAR地球儀です。 アプリ本体のバージョンアップとは独立して様々なコンテンツを配信することができます。
まだARが世間に認知されてきて間もない頃、そのおもしろさに目をつけたほぼ日と、ARアプリの開発を中心に行っていたクウジットとの出会いが、アースボールアプリの実現へとつながりました。

◎製品 & アプリ リリース履歴

2017/12/01: アースボール ビーチボール版 & アプリ version 1 リリース
2020/11/05: アースボール & アプリ version 2 リリース
2022/07/01: アースボール ジャーニー 発売
2022/11/15: アースボール Play 発売

Process

「地球儀」の認識における試行錯誤の繰り返し

クウジットは「ほぼ日のアースボール」開発チームに、ARアプリ開発の役割で参画しました。
初期フェーズは、主に「地球儀」の認識における試行錯誤の繰り返しでした。 球体認識の技術などが一般的でなかった頃からの開発につき、 球体表面の地図を平面の集合として現実的な精度で認識する手法の検討を行い、 原理試作を進めました。

コアとなる認識部分に目処がついてきた段階で、引き続き商品化のプロジェクトにも参画。 認識した球体(地球儀)に実際の地図上での緯度・経度を反映できるようになり、地理にあわせた様々な情報を合成できるようになりました。

また、デザインチームとも協調し、アプリそのものの開発面でも、 開発視点からのUI/UXをフィードバック・提案しており、 製品・アプリの正式リリース後も定例ミーティングを通じて新たな課題や要望を試作・実験し、 本番環境に反映していく...というサイクルを繰り返す形でのプロジェクト進行を行いました。

座談会メンバー
株式会社ほぼ日/CTO 清木 昌、プロジェクトリーダー 古謝 将史
クウジット株式会社/CEO 末吉 隆彦、ディレクター石井 徹

Interview

お話を伺った方、清木さん(右)、古謝さん(左)

最初の一歩は、地球をコンテンツに!というアイデアから

末吉:そもそも「ほぼ日のアースボール」商品企画は、どうやってはじまったのですか?
古謝:社長である糸井重里が最初にイメージした「ボールのように蹴ったり投げたりできる地球儀作ろう!」 からプロジェクトがスタートし、やがてARという技術と結びつきました。 この最新の技術を使えば地球儀というひとつのプラットフォームから 無限のコンテンツを発信していくことができるんじゃないかと考えたのです。
末吉:「ほぼ日のアースボール」商品は、地球儀と専用のARアプリ、そしてコンテンツ配信から構成されてます。 いまや選べる地球儀本体も3種類、ARコンテンツは20種類以上です。 最初から、このようなプラットフォーム型の事業にすることを狙って企画されていたんですか?
古謝:プロジェクト当初より、 幅広いコンテンツが必要になるだろうとコンテンツプロバイダの方々との座組を考えていましたから、 いまふりかえるとプラットフォーム型のイメージは当初からありました。
ただ、一般的には、これはプラットフォームだぞって言われても、 どう理解していいのかよくわからないかもしれません。
迷った末に、スタートは「すごい地球儀」として「もの」を売るところから始めることに決めました。
末吉:ほぼ日で大事にされている、商品づくりの信念がありそうですね。
古謝:糸井に言われてとても衝撃をうけたのが、 「目標を決めて、そこにたどり着くのはつまらないからやめろ」という言葉です。 なんておもしろいことをいうんだろうと。
ほぼ日には、「やさしく、つよく、おもしろく。」という行動指針があるのですが、 この「おもしろく」の部分には、おもしろくやろう、おもしろいものを作ろうというだけでなく、 それこそ飯のたねになるという信念も含まれています。 だから、目標を決めて、そこに最短でたどり着くぞ、というよりは、 転がって曲がったりぶつかったりしながら豊かさが広がっていくと、いいなと思っています。
石井:クウジットがプロジェクトに参画したのは、 地球儀制作を担当していた凸版印刷さんとのつながりで参加させていただきました。 当初、まだ球体のAR認識技術が一般的でない時代で、技術的に実現できるのかどうなのか... という原理試作フェーズからのスタートでしたね。
実際に企業のR&Dプロジェクトを支援する伴走型プロジェクトはいろいろ経験をしてきたものの、 (企画の出どころとして)「ビジネス目的」や「バズワード」ありきになってしまうことも多いですが、 「こんなことができたらおもしろいのでは」という起点から原理試作し、 幅を持たせて提案型でキャッチボールをしながら、おつきあいさせていただいたことは、 とても印象的でしたね。
古謝:やわらかいフェーズからおつきあいいただき、ありがとうございました。 試作が面白いとがんばれるし、いくつか提案してくれると、選び取っていけますよね。 ボツになった機能やコンテンツ案もいろいろあるけれど、以前やっていたことがのちになって生きてくることありましたよね。
末吉:プロジェクトは、糸井さんの発案からはじまるものが多いのですか?
清木:個人の想いをとても大事にしている会社なので、プロジェクトのはじまりは、 さまざまですね。糸井からの発案もあれば、メンバーからの発案もあります。 発案後にみんなで話していくうちに、想像もしていなかった方向に転がっていくこともよくあります。

「地球はひとつ」というコンセプトを見える化する

末吉:アースボールのお客様の反応や心に残るエピソードなどありますか?
古謝:アースボールの販売店舗とかに立っていると、販促で大きな地球儀を置いていることもあり、 みんな寄ってきてくれるんですね。 そして、お客様に共通な特徴があって、それは、アドバイスしてくれるんですよ。こんなことができるとよい、 あんな使い方がしたい、などなど。やっぱりこれが地球儀であるから、つまり僕らが生活している、 大きな地球のミニチュア版だからこそ、自分たちにとって非常に関係のあるものだ。と思ってくれるんでしょうね。
注目してくれる年齢層の広さとか、幅の広さは、特徴的だと思ってます。 セカンドモデルが出た時に、いろいろな雑誌に取り上げていただいたのですが、 同じ日に(大人向けの雑誌)WIREDと(子供向けの雑誌)「ちゃお」に掲載された日があって、 なんて幅の広い面白い商品だろうと、なんだかうれしくなりました。
石井:実家の母にアースボールをプレゼントしたのですが、 知らぬ間に「いまの地球」コンテンツを使いこなしていて、台風予報が出ているときに、 アースボールアプリで「今、まだここらへんだから大丈夫だよ」みたいな事を言っていて驚きました。もう80歳過ぎなんですよ。
古謝:それは、いい話を聞きました! 「いまの地球」というコンテンツを、すごく喜んでもらえることが多いんです。 今現在の地球の雲などの様子が、目の前で手に取れる形で出てくるみたいなところがその理由なんでしょうね。
「地球はひとつ」のようなコンセプトは、昔からありますが、アースボールで見ていると、 やっぱり地球ってひとつなんだなって、私自身も思いますし、お客様の反応を見るにつけ、 アースボールには普遍的なコンセプトを感じます。
石井:セカンドモデルでは、国境も国名もないデザインでしたよね!
古謝:まさに、地球がひとつというコンセプトでデザインされています。

現実とデジタルが融合される未来へ

末吉:今後の展開などは、考えていることはありますか?
清木:昨年、サイエンス・マジック部という開発部門を社内に立ち上げて、開発を引き継がせていただきました。 アースボールアプリ上で様々なコンテンツを作りやすい基盤を整えていただきましたので、引き続き、 老若男女に地球を楽しんでいただけるコンテンツを増やしていきたいと考えています。 また、これほどグローバルな題材の商品もありませんので、販売エリアも拡大展開したいですね。 「いまの地球」などは、ローカライズせずとも、そのまま海外展開できるコンテンツだなと思っています。
末吉:コンテンツといえば、SDGs領域のコンテンツも配信されてますよね。 子供たちへのSDGs教育なども始まって、地球全体の社会課題に関しての注目も高まっています。 コンセプト的にも、ますます時代にマッチしてきましたね。
古謝:はい、2021年には、政策研究大学院大学 田中明彦先生の研究室と共同で「SDG Maps」 というコンテンツをリリースしました。これは、SDGs入門としてわかりやすいテーマを目標ごとに1つずつ、 計17個選び、アースボールの球体上で見られるようにしました。
世界の今ある状態を、フラットに、客観的に、見せて、考えてもらう、という表現は、アースボールのよさが活きるアプローチだったと思います。
末吉:テクノロジー活用の方面では、注目している領域はありますか?
清木:個人的に、リアルとデジタルとを結びつける技術領域に注目してます。ARは、ほぼ日の得意分野である、 実際のモノをつくったり、リアルなイベントなどともすごく相性が良い技術ですよね。2023年は、それに限らず、 現実とデジタルを融合するような技術がどんどん出てくるのだろうなと予測しています。
末吉:まさに[空]と[実]をつなぐクウジットですから、現実とデジタルとの融合領域いいですね! サイバー側にデータが蓄積されれば、AIやデータ解析側とも親和性がよくなりますね。
これからも「こんなことができたら面白い!」を一緒に実現していきましょう。
会社名: 株式会社ほぼ日
代表者: 代表取締役社長 糸井重里
URL: https://www.hobonichi.co.jp/
概要: ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を企画運営しながら、そこに集まる人々に対して、 「ほぼ日手帳」や「ほぼ日のアースボール」をはじめとした商品や、「生活のたのしみ展」のイベントなど、 「いい時間」を提供するコンテンツをさまざまな形で企画・制作しています。

2023.2.20
ほぼ日 本社にて

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